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蹴球狂の詩

イエローカードの貰い方


 2010ワールドカップ南アフリカ大会は僕の予想通りスペインの初戴冠となった。 そしてそれは極めて正当な結果だった。
 オランダはグループリーグで自分たちが日本にやられたようなサッカーをスペインに対して仕掛けた。 攻撃はスナイデル、ロッベン、カイト、そしてファン・ペルシーの4人に丸投げし、あくまで守備的だった。 しかしそれでもスペインの流麗なパスワークを寸断するほどのプレッシャーはかけられなかった。 結果オランダがスペインのパスの繋がりを止めるには悪質なファウルまがいのスライディングやタックルを見舞う他なかった。
 武闘派サッカーで挑んできたオランダの前にたびたび寸断されたスペインのパス回し。 それでもそれら悪質なプレーのオンパレードに一通りイエローカードが提示されて以降、スペインのプレーの障害となる要素はなくなり、試合は完全にワンサイドになった。 時折、驚嘆すべきスピードで自陣のゴールを脅かしたロッベンを除いては。
 ファン・ボメルを筆頭に汚いファウルを連発したオランダとは対照的にスペインはこのファイナルまでイエロー2枚のみ。 美しいサッカーに野暮なファウルは無用。 フェアプレー賞受賞は当然である。 オランダはロッベンがプジョルを振り切ってフリーになった時にプジョルに2枚目のイエローを提示して退場にすべきだったと思っているのかも知れないが、この試合の主審は2枚目のイエローに関しては非常に慎重であり、その点に関しても両チームに平等に笛を吹いていた。 ただ、あそこでロッベンが倒されていたらプジョルはきっと退場になっていたことだろう。 幸か不幸かロッベンは後方から伸びてきたプジョルのスライディングにも引っ掛かることなくゴールに突進し、ボールはカシージャスに奪われた。

 前半28分にデ・ヨングがシャビ・アロンソにお見舞いしたチャクリキ・ジム仕込み?の前蹴りは間違いなく一発レッドだったが、オランダの選手が貰った10枚(!)のイエローのほとんどは際どいところを削りにいったものだった。 スペインの選手たちはマイボール目がけてくる相手のタックルとの空間に自らの足を入れ、なおかつダメージを最小限にとどめるためにコンタクトの瞬間にはうまく体重移動して衝撃を和らげた。 スペインの選手たちの巧みさがオランダのイエローカード大量発行に繋がり、それは彼らからボールを強奪する意欲を奪った。
 一方でスペインが貰ったイエローは5枚。 なかでも延長後半11分、決勝ゴールを決めたイニエスタが貰ったイエローと、延長後半ロスタイムにシャビが貰ったイエローはオランダの選手たちが貰ったイエローとはまったく異なる意味をもっていた。
 ゴールを決めたイニエスタはユニフォームを脱いでイエローを貰ったが、ユニフォームの下のアンダーシャツに書かれていたのは昨年8月に亡くなった同じカタルーニャのエスパニョールの主将で親友のダニ・ハルケへのメッセージだった。 そしてシャビは大詰めの延長後半ロスタイムに相手陣内で自軍のファウルでプレーが止められた際、ボールをファウルがあった場所から相手キーパー方向に蹴り出し、味方が全員自陣へ戻るためのほんのわずかな時間と引き換えにイエローを貰った。
 ボールのみならずイエローカード、それも相手のイエローまでも自らの思いのままに操ったスペイン。 ファイナルで雌雄を決するに相応しい両雄だったが、その差は1対0というスコア以上に大きかった。

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