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Odyssey

タイ・ビルマ出張記2010 その9 Bound for Village

 いつも「出張記」というわりに仕事についてはほとんど書くことはないのだが、自分としても今回は興味深い体験をしたのでそのあたりを備忘録として。

 今回はまずヤンゴンにある工場にて自社商品であるラタン製品の最終仕上げの段階を検品したのだが、それらの多はヤンゴンで作られているわけではなく、ヤンゴンからハイウェイをクルマで4時間の村で作られている。 これまではスケジュールが合わず村にはまだ一度も行ったことがなかったのだが、今回は行ってみることにした。 ヤンゴンを早朝発って夕方帰ってくるデイトリップ。 やれやれ、また早起きしなきゃ。

 午前7時半にヤンゴンを出発。 クルマには僕の他にメーカーのスタッフ3名。 30分ほどで市内を抜けたクルマは高速道路に入った。 もちろん日本のようにちゃんと中央分離帯があって複数車線あって一般道よりはマシな舗装がしてあって・・・なんて淡い期待を抱いていたわけではないが、近づいてきたトールゲートは意外に立派で、一瞬「これはイイかも」と思わせたが、次の瞬間その期待は儚くも打ち砕かれた。

 そもそも前にいるのが農作業車。 その時点で気づくべきだったのだが、中央線はないわ犬は寝転んでるわ自転車は走ってるわ水牛の群れは我が物顔で横切るわで、言っちゃったもん勝ちの高速道路。 実態は広域農道って風情。 当初想定していた最悪の状況である無舗装路でなかったのが唯一の救いである。
 この映像の最後は対向車のバスがほぼ正面から我々のクルマに向かって突っ込んでくるところで終わっている。 本能的に危険を察知し撮影を止めたのである。 だがこちらも道の真ん中を走っているわけで、まるでチキンレースの様相。 なぜこのような状況になってしまうかというと、道の端は舗装が所々悪くてアスファルトが剥がれていたり、剥がれたのを下手な舗装で直したりした跡があったりするのでそれを避けて真ん中を走るからである。 お互い対向車が目前に迫っているのに目の前の悪い舗装は必ず避けようとするので道の真ん中で危うく衝突しそうになること数知れず。 普通なら直前で速度を落とし、道が多少悪かろうが何だろうがあくまで自分のレーンをキープしながら対向車と行き違うべきところ、人命のプライオリティはクルマやサスペンションやタイヤのそれよりも低いらしい。 しかも100km/h前後で走行している状況下である。
 おまけにミャンマーでは客人のポジションは助手席と決まっているようで、僕は常に助手席。 英国嫌いのミャンマーは独立後クルマを右側通行に変更したのだが、にも関わらず走っているクルマのほとんどが右ハンドルの日本の中古車。 必然的に僕はいつも中央寄り、つまり対向車と行き違う側に座ることになる。 日本でもたまに高速道路で対面交通の箇所があるが、速度規制もあり、中央にポールぐらいは立っているものだが、もちろんミャンマーの高速道路にそんなものはない。 チキン呼ばわりされようが何しようが命あっての物種である。 すかさずシートベルトを締めようと引っ張り出したがバックルが見当たらない。 訊けば「邪魔だから外した」とのこと。 万策尽き果てるとはこのことである。

 それでも耐えること1時間半。 窓を開け放ったクルマには炎天下の熱せられた空気しか入ってこないのに、緊張していたせいか暑さはまったく感じなかった。 休憩でロードサイドのレストランに立ち寄ったのを機に残りの行程は後部座席に座らせてもらうことにした。 日本男児の風上にも置けないヘタレである。 今もこの地に眠る皇軍の英霊たちが見たら日本人もずいぶん軟弱になったとお嘆きになることだろう。 だがおかげでだいぶリラックスして車窓の風景などを楽しむ余裕ができた。 事実それまでは景色など楽しんでいる余裕はまったくなかったのである。
 やがてクルマは肥沃なイラワジデルタの水田地帯へ。 右を見ても左を見ても田植えを終えたばかりの青々とした水田が地平線の果てまでが続く。 すると突然後方からけたたましくサイレンを鳴らした車列が近づいてくる。 我々のクルマは路肩に寄せて一時停車。 ほどなく3台の黒塗りのランクルが猛スピードで追い抜いていった。 前後のランクルのルーフトップにはパトランプ。 訊けばナントカ将軍のお通りだったようで、一般車は軍用車両に道を譲らなければならないという。 昔バリ島の田舎道を走っていたらAPECで来ていたメガワティ大統領(当時)の車列に追い越されたこと、そして深夜の中央道を走っていたら金丸信(キム・ガンシン)の通夜の帰りだった橋下龍太郎首相(当時)の車列に追い越されたのを思い出した。 要人輸送は猛スピードで走るのが基本。 スピードが遅ければ遅いほど危機に遭遇するリスクが高まるからである。
 走ること2時間。 ようやく目的地の村に入った。

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