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Critique

龍馬伝最終回の字幕テロに集いしもの

 NHK龍馬伝。 なんとなく惰性で観てしまった感は否めないが、最終回の近江屋での龍馬暗殺という言わばこの物語のクライマックスでのまさかの龍馬顔面テロップ事件には驚いた。 速報テロップで伝えられたのは即日開票された愛媛県知事選の結果だったのだが、少なくとも愛媛県外の人間にとってはさほど速報性が重視されるようなニュースではなかっただけに龍馬伝終了後のニュースの枠でも良かったとは思うが、こんな事ぐらいでNHKに抗議する方もする方である。 ちなみに僕の場合は受信料を払ってないので抗議する資格すらない。
 ところでこの愛媛県知事選に当選した中村時広氏は直前まで松山市長を務めており、知事選のために自ら職を辞して立候補し当選したのだが、彼が1999年に松山市長に就任後、司馬遼太郎の小説「坂の上の雲」にちなんだ街づくりと、その一環としての記念館建設を計画した時、いつもは共同通信のコピー&ペーストだけの地元紙である愛媛新聞は突如自我に目覚めたかの如くこの計画に対して苛烈な反対キャンペーンを張った。
 2004年8月29日の社説では、「この小説は紛れもなく軍記ものである。俳人正岡子規や、軍人秋山好古・真之兄弟の生きざまに触れてはいるが、多くを日露戦争の記述にあてている。 記念館はまかり間違えば「戦争博物館」になりかねない。反対論はそのことを起点にしている。(一部抜粋)」と、同作品に軍記もののレッテルを貼り、最後は「戦争博物館」と病的飛躍をしてみせる。
 こうした理解に苦しむ反対キャンペーンにも関わらず、記念館は安藤忠雄の設計により坂の上の雲ミュージアムとして2007年4月に開館、愛媛新聞の反対キャンペーンもいつの間にかぷっつりと止んだ。

 ちなみにこの中村時広氏は三菱商事出身であり、そういう意味では時代こそ違えど岩崎弥太郎の「元徒弟」である。 その当確テロップが画面に入ったのは弥太郎役の香川照之の従兄弟である市川亀治郎演じる京都見廻組の今井信郎が龍馬を斬りつけたまさにその瞬間であった。 字幕テロの「傷跡」であるテロップが入ったのが龍馬の致命傷となる刀傷を負った額だったことも偶然にしては出来すぎている。
 NHKとしては、龍馬伝が終わり今度はふたたび始まる坂の上の雲もPRしたいところ。 そんな時に折り良く同作品で松山市を盛り上げてきた中村時広氏が今度は愛媛県知事へ当確。 何やら様々な因縁がこの刹那に重なったという気がする。
 そして、何よりもその奇妙な巡り合わせの発端ともなったであろう坂の上の雲の脚本を担当していた野沢尚の自殺。 当初2006年から放送される予定だった同作品はこれによってスケジュールの見直しを余儀なくされた。
 野沢の自殺の原因は誰にもわからないが、当時彼が執筆していた坂の上の雲の脚本が思うように進んでいなかったことから、司馬遼太郎の原作と自らの世界観のギャップに苦しんでいたという説もある。 だが、彼の死後数年が経ち、放送された坂の上の雲に司馬の原作にはない捏造や異なる史観がたびたび出てくるのを見るにつけ、彼が苦しんでいたのはむしろ司馬の原作とNHK史観の間に横たわる大きな溝ではなかったかとさえ思う。
 また、野沢の自殺の3ヶ月前にテレビ朝日系で放送されたドラマ「砦なき者」のラストで、役所広司演じる主人公が語るビデオテープによる遺書に込められたメッセージが野沢本人と重なるという指摘もある。 この説にいたる前段の部分については本エントリーの最後に参照したブログが詳しい。
 あらためてドラマ「砦なき者」を観直してみようと思う。

Prism Viewpoints 砦を守り疲れた脚本家●砦なき者

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