//
you're reading...
Odyssey

岩手の旅 その1 遠野行

 遠野に行ってきた。 柳田国男の「遠野物語」で描かれた民話のふるさとである。
 今回初めて遠野を訪れるにあたり、遠野の馬を撮り続けている写真家の方に事前に現地の情報を教えてもらう幸運にも恵まれた。
 僕にとっては仕事で20年前に盛岡に行って以来の岩手である。 旅は以前から漠然と頭に描いてはいたものの、本気で行こうと思ったきっかけはやはりあの震災である。 本来であれば遠野に加え福島県南相馬市で行われている「相馬野馬追」も観に行く予定だったが、ご存知のとおり震災と原発事故の影響で今年は馬が集まらず、かなり規模を縮小して行われる予定。 仕事との兼ね合いもありこの時期に遠野に行くことになった。 相馬の代わりに二つめの目的地になったのは先ごろ世界遺産に登録されたばかりの平泉である。
 前日花巻に一泊し釜石線で遠野へ。 駅でレンタカーを借りて荒川高原へ向かう。 馬の生産地としても知られる遠野。 夏場に放牧が行われている荒川高原で地元牧場主のSさんと落ち合って放牧の様子を見せてもらうのだ。

 途中、高原へと入っていく林道の入口に牧場を見つけた。 馬たちはお腹を空かせていたらしく柵に使われている木をがしがし食べていた。 「なにも木を食べなくても」と思い、直前に通り過ぎた酒屋で人参を仕入れ(田舎の酒屋にはたいてい野菜なんかも売っている)、ふたたび戻ってきたところ馬たちは牧草の生えているエリアに移動させられていて、それを美味しそうに食べていたのでそのまま高原へ向かうことにした。
 高原へ続く林道は震災の影響でところどころ崩落しかかっていたが、それでも片側はどうにか通行でき事なきを得た。 山の斜面を走る林道は斜面をL字型に削り取り、その土を崖側に盛って造成されているので、山側の片側車線に比べ人間が盛った崖側の片側車線の地盤は脆弱なのだそうである。
 やがて両側の視界が開け、緑一面の高原道路に入ると突然正面から僕たちのクルマに向かってくる小動物の姿を発見。 最初犬のように見えたそれは狐だった。 クルマを路肩に寄せ、傍らに佇んでいる狐を写真に収めようとしたら狐は踵を返して草原の緑の中に消えてしまった。 と、僕らのクルマの真横に停まった一台の軽トラ。 運転席から人懐っこそうな笑顔が覗く。 それがSさんだった。 先ほど連絡を入れてはいたのだが不在で、よもやこんなところで会えるとは思ってもみなかった。

 そこからランデブー走行で走ること数分、草原に馬の姿が見えてきたところで停車したSさんの軽トラの後ろにクルマを停める。 柵の中(もちろん通常は立ち入り禁止!)に招き入れられた僕たち。 そこは馬たちにとってまさに天空の楽園だった。
 馬たちは陽光を体いっぱいに浴び、思い思いの姿でくつろいでいる。 僕たちが近づいてもまったく気にする様子もない。 ある者は存分に草を食み、ある者は四肢を草の上に投げ出しいびきをかいて寝ている。 ここまで自然な馬の様子をそばで見ることのできる機会はそうそうあるものではない。

 遠野産の馬には例外なく左のお尻に「と」印が入っている。 以前からこの印はどうやってつけるのかと思っていたのだが、毛を剃ってから液体窒素を使ってやるのだそうだ。 以前は焼印だったものが、馬の負担を軽くするためにこのような方法になったものと思われる。 ご覧のとおり「と」印の部分にもちゃんと毛は生えており、皮膚組織が破壊されているわけではない。


 ホースショーの人気者・ホワイトワンボーイも遠野の馬です。

 
つづく

広告

Noisy Majority について

思うところを書く。

ディスカッション

コメントは受け付けていません。

Calender

2011年7月
« 6月   8月 »
 12
3456789
10111213141516
17181920212223
24252627282930
31  

Archive

Drink it !

コーヒー(無脳)

Instagram

%d人のブロガーが「いいね」をつけました。