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Food & Drink, Odyssey

欧州蹴球競馬旅 Episode 9 巴里逍遥

 今回は移動が多い旅である。 ひとつところに3日と落ち着けない。 自ら決めた旅程とはいえまるで遊牧民のようだ。 この日は朝ホテルを引き払い、キングスクロス駅の隣のセント・パンクラス駅からユーロスターでパリに向かう。 パリに行くのも25年ぶりである。 一方妻は数年前にメゾン・エ・オブジェを見に行って以来。 ユーロスターは二人とも初めてだ。
 パリまでの2時間15分に特筆すべきことはあまりない。 ただひとつ言えることは、ユーロスターが新幹線に勝る点は何一つないということである。 途中、一カ所長いトンネルがあった。 それがドーバー海峡下を通るトンネルだったのだろう。
 パリ北駅からメトロでバスティーユのホテルへ。 妻によればフランスは1998年のサッカーワールドカップを契機にやや英語に寛容になったという。 確かに25年前はほとんど誰も英語など喋ってはくれなかった。 喋れるくせに。 実際、当時メトロの切符売り場で「アン・カルネ・シルブプレ」と言って購入した切符は「テン・チケッツ・プリーズ」で事足りた。 くすんだ黄色い切符は白い切符に変わっていた。 四半世紀の時はかくも物事を変える。 この先更に25年後はスワヒリ語で切符が買えるようになっていることだろう。
 ホテルはいわゆるプチホテル。 入口も小さいし、フロントもデスクが一台あるだけ。 そこにカルロス・ゴーンから背脂と毒気を抜いたようなおじさんがいて僕たちを迎えてくれた。 部屋も小さくバスルームも狭い。 一応ベランダもあるのだが狭くて出る気にはならなかった。 と、僕にとってはイマイチな部屋でしかなかったのだが妻はとても気に入った様子。 やはり男と女は違う生き物だ。
 今日はとりたてて予定もないのでポンヌフに行ってセーヌ川の遊覧船に乗ってみることにした。 僕は25年ぶり、妻は初めてである。 今回初めて知ったのだが、妻は以前フランス語を習うため一人でパリにアパートを借りて一ヶ月ほど住んでいたことがあったらしい。 それでもこういう観光らしいことはしたことがなかったという。


 船着場に行くと間もなく出航する船がいたので乗船。 そのままルーフデッキに上がった。 船が出航するとすぐにルーヴル美術館やオルセー美術館が見えてきた。 しかしながらやっぱり絵になるのはエッフェル塔。 気がつくとそればかり撮っている。 我ながら本当に田舎者であるw
 陸に上がり、妻の案内でオテル・ドゥ・ヴィル(Hôtel de Ville)にあるベー・アッシュ・ベー(BHV)へ。 ここは一風変わった百貨店で、その品揃えはちょうど東急ハンズのような感じである。 ホームセンター・ジャンキーを自認する僕としては平常心を保つことが難しい空間である。 もしパリに住んでいたらかなり「使える」店である。
 続いてサンジェルマン・デ・プレのショップを散策。 やがてお店巡りも一段落、せっかくパリに来たのだから一回ぐらいちゃんとしたフレンチを食おうということになり、良さそうな店を物色した。 どの店も今宵のコース料理が書かれた紙を店頭に貼っているので、メニューの内容や値段、店の雰囲気なんかを見ながらしばし検討し、やがて入ったのが「Fish La Boissonnerie(フィッシュ・ラ・ボワソヌリー)」というシーフードがメインのお店。 「レコードをジャケ買いする」なんて言葉があるが、この店の場合はそのファサードの感じがすごく気に入って決めた。 こういうの何て言うんだろう?
 料理も良かった。 妻はパリで外食して美味しい店に当たったことがないというが、この店は例外だったようである。 店の入口にはバーカウンターがあるのだが、仕事帰りの人たちが次々と訪れて料理を肴にワインを立ち飲みしている。 まるでカウンターの一角だけはパーティーが行われているかのようだ。 リストに載っているワインは産地別にたくさんの銘柄が300種類ほど。 近くに同じオーナーのワインカーヴ「La Dernière Goutte (ラ・デルニエール・グット)」があると知り納得。 試しにラングドックの赤をトライ。
 僕たちのテーブルを担当してくれたのは可愛い女性スタッフだったのだが、彼女が料理を説明する際に突然片言の日本語で「スコシダケ」なんて言う。 訊けば奈良に一年ほど住んでいたことがあるのだという。 彼女は道を挟んだ向かいのサンドイッチ屋「Cosi」との間をせわしなく往復し、各テーブルに焼きたてのパニーニを運んでくる。 美味しいから食べ過ぎには要注意だ。 このサンドイッチ店も同じオーナーとのこと。 ワインと食事とパン、完璧である。
 帰国してから調べてみたらミシュランガイドにも載っている店だった。 以前は魚屋だったそうで、店名はその名残りなのだろう。 シェフはイギリス人で、フレンドリーなスタッフの出身地もフランスの他にデンマーク、メキシコ、ニュージーランドとバラエティに富んでいる。 英語が普通に通じたのも納得である。 カジュアルな雰囲気だけど料理は味もプレゼンテーションも悪くない。 決して自分の舌に自信があるわけではないが、旅先での大切なディナー、この店なら「ハズレ」はないと思う。 時間が早かったせいもあるが、予約なしで入れた僕らはラッキーだったみたいだ。

 
フィッシュ ラ ボワソネリー Fish La Boissonnerie – パリのおすすめレストラン
フランス美食村:Fish La Boissonnerie
パリ彩々。 Fish La Boissonnerie

 
お店DATA
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Fish La Boissonnerie
69 Rue de Seine 75006 Paris
(Saint-Germain-des-Prés駅、Mabillon駅、Odéon駅から徒歩圏内)
TEL:01 43 54 34 69
営業時間:12:30~14:30(昼) 19:00~22:45(夜) 月曜定休

 
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