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蹴球狂の詩, Odyssey

欧州蹴球競馬旅 Episode 11 クロックエンド

 チンチネロ、いやジンガロの興奮醒めやらぬパリの夜をホテル近くのレストラン「Le Saigon」で締めくくった。 手近なところで済ませたつもりだったがこの小さなヴェトナム料理屋も当たりだった。 フォーにはセンマイなど新鮮なホルモンがふんだんに入っており、「こんなものがパリで食えるとは!」と唸らされた。 オペラ座を歩けばインチキ日本料理屋のオンパレード、下を見れば犬の糞はそこらじゅうに落ちてるし、ジプシーみたいな連中が駅や観光名所で組織的に署名詐欺やスリをやってたりするパリ。 前夜のフレンチといいこのヴェトナミーズといい、自らの野性の勘に任せて飛び込みで入った店がいずれも美味しかったことは、嫌気が差し始めていたこの街そのものの印象をだいぶリカバーしてくれた。 結局、食べるものが美味いということ以上にこの世の中に大切なことなどないのだ。

 パリ北駅からふたたびユーロスターでロンドン・セントパンクラス駅へ。 乗車する前にイギリスの入国審査所があるのには少々面食らった。 手荷物検査を待つ長蛇の列や長いプラットホーム。 ユーロスターの旅にはホイール付きのスーツケースが欠かせないことを来る時に痛感させられた僕はパリでサムソナイトを購入した。 日本で買うより2割以上安く買えたうえに帰りはずいぶん楽だった。 
 ロンドン到着後、この旅最後の宿となるサウスケンジントンのホテルにチェックイン。 パリのプチホテルとは違って超快適だ。 テレビモニターにはワイヤレスキーボードもついていてウェブサイトも閲覧できる。 小さなキッチンに加えて食器類も一通り揃っていて長期滞在にも最適だ。
 今日はプレミアリーグのアーセナル対WBA(ウェスト・ブロムウィッチ・アルビオン)観戦。 キックオフは午後3時。 チューブでアーセナル駅に向かう。 二度目となれば勝手知ったる道のりだが、昼間のゲームなので同じ景色でも印象は異なる。
 今日はゴール裏。 グナーのなかでも一番熱くて騒々しい連中が集まる「クロックエンド」。 ハイバリー時代の時計下のエリア(写真)が昨年からこのエミレーツスタジアムでも復活したのである。 わざわざそのためだけに時計を増設(写真)して。
 スタンド裏には売店があり、既に多くのグナーたちがビール片手に盛り上がっていた。 トイレの列に居並ぶ男たちもみなビール瓶片手。 あんたら飲むか出すかどっちかにしろよ!というツッコミはさておき、この荒くれ者たちの社交場には女の子の姿もちらほら。 もっともあんまりおしとやかな感じの子はいない。 上の写真の下の方にちらっと写っている女の子みたいなアグレッシブなタイプだ。
 座席は先日のチャンピオンズリーグ・マルセイユ戦でマルセイユのサポーターが陣取っていたエリア。 すぐ隣にはウェストブロムのサポーターに割り当てられたエリアがあり、間には警備員が立っている。 どうやらここが最前線だ。


 この日は絶対的エースのファン・ペルシーが先発。 でもファン・ペルシーなんて小野がフェイエノールトでブイブイいわせてた頃はまだ小僧だったんだが(証拠動画)・・・それが今やアーセナルの大黒柱とは隔世の感である。
 クロックエンドに座ったら最後、落ち着いてゲームを観ることはできない。 そもそも90分間チャントを歌いっ放し。 「Stand up for the Arsenal (アーセナルのために立て)」や「Stand up if you hate Tottenham (スパーズが嫌いなら立て)」が聴こえるたびに立たなきゃいけない。 いや立つことが喜びなのだ。 アーセナルとトッテナム(=スパーズ)はノース・ロンドン・ダービーを戦う相手だが、グナーはトッテナムを蛇蝎のごとく嫌う。 こちらの動画(Sワードあり)をご覧いただければその思いの強さが如何ばかりか一目瞭然だ。


 ゲームは3-0でアーセナルの一方的なゲーム。 そんななかグナーのチャントで面白かったのが上に貼った「You’re just a s**t Wolverhampton (おまえらウルヴスはただの糞だ)」というやつで、これはウォルバーハンプトン(=ウルヴス)以外の相手に対しても送られるチャントのようだ。 で、送られた側のウェストブロムのサポーターたちはこれに対して「We’ve never lost 8-2 (俺たちは8-2なんかで負けたことないぜ)」と応酬していた。 言うまでもなく今シーズン序盤、スタートダッシュに失敗したアーセナルがオールド・トラッフォードでマンチェスター・ユナイテッドに8-2と記録的惨敗を喫したことを皮肉るものだ。


 両チームのサポーターが第三種接近遭遇するこのクロックエンド。 一部のサポーターは熱くなりすぎ、警備員によって退場させられそうになっていたが、この日はホームのアーセナルからすれば下位チームが相手とあってそれほど殺伐としていたわけではなく、互いのサポーターもフェンス際の警備員越しに笑顔で罵り合うような雰囲気。 妻も肝心の試合はそっちのけ、途切れなく聴こえてくるグナーのチャントを楽しんでる様子で「まるでミュージカルにでも来たみたい」とご満悦。 確かに僕も試合そのものよりクロックエンドの雰囲気を楽しんでいた気がする。
 もしあなたがクロックエンドに行くのなら、以下のサイトで主要なチャントはきっちり歌い込んでから行こう!

Listen to Arsenal football songs, Arsenal FC chants.
 
つづく

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