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Critique

気になる言葉

 最近鼻につく言葉がある。 「心が折れる」という表現だ。 誰が言い出したのかは知らないが、スポーツ選手は「何度も心が折れそうになりました」 ナレーターは「~は折れそうな心を奮い立たせた」 文筆業の皆さんもまあ使うわ使う、使いまくる。 調べてみると、元々「心折れる」という表現は「気持ちを相手側に曲げる」という意味だったようである。 「ここは私が折れて君の言う通りにしよう」という時と同じ用法である。

 「心が折れる」とは? - ことばおじさんの気になることば - NHK アナウンスルーム

 そもそも「折れる」類のものは折れる可能性のある形状をしているから「折れる」のである。 すなわちある程度長尺のものでないと「折れ」ないのである。 そこで問題となるのが、果たして心の形状とは如何なるものなのか?ということである。
 もちろん「心」という存在に実体はない。 だが多くの人にとって「心」というものは人間の体の中心に位置し球状のイメージを成しているのではないだろうか。 ただし心には定形がない。 時に「心細く」なってしまえばそれは折ることが可能な形状になってしまうのかも知れない。 もちろん言葉は時代とともに変わっていくものでありそれを否定するわけではないが、それがあまりに世の中に急激に氾濫してしまったために僕にはとても耳障りだ。
 同様に最近耳障りなのが「安全安心」あるいは「安心安全」だ。 「安全」あるいは「安心」だけじゃ不安だからそれを補完する役割として似たような意味の言葉を重ねる。 言うまでもなく原発事故以降急激に使われるようになった。 とても陳腐な言葉だと思う。 それはまるでこの世に存在しないものを一心不乱に唱える念仏のようだ。
 先日、自衛隊によって青森から空輸された雪を使って沖縄の子供たちが雪遊びをするイベントが中止になった。 原発事故で沖縄に自主避難してきた父母らから抗議が相次いだため、という。

 時事ドットコム:雪遊びイベント中止に=「放射性物質心配」の声-青森の630キロ無駄に・沖縄

 沖縄の子供たちは、こういう「放射脳」に冒された移住者たちのせいで楽しみにしていた雪遊びができなくなった。 本来、安全もしくは安心のいずれかで満足すべきところ、マスゴミとそれに感化された人々が垂れ流す「安全安心」が最低限の基準になっている。 そして安全安心安定安寧安静安住・・・その行き着く先が「放射脳」となる。 
 結局雪は石垣島の児童施設に贈られることになったという。

 朝日新聞デジタル:青森の雪、石垣の児童施設へ 那覇の体験行事中止受け – 東日本大震災

 福島第1原発事故の放射能の影響を恐れ遙か沖縄にまで避難した父母らが、米軍の低空飛行訓練の騒音や原子力空母の寄港に抗議の声を上げることなく心折れてくれることを願うばかりだ。
 

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ディスカッション

気になる言葉」への2件のフィードバック

  1. 「心を砕く」とかもそうですね。
    他人を慮ることをこう表現できる。日本人で良かったと思います。
    そういう美しい表現があるのに、似たような表現で「心が砕けた」とか言うのを聞くと、やっぱり違和感を感じますね。
    自分のことばっかりじゃん!って。
    なんか、日本人の美徳が個人主義に駆逐されてしまっている、とか思っちゃいますけど。

    ‥面白い耳触りの良い表現を、あまり考えずに使ってしまっている自分を反省したりもします。
    というようなことを、今回の記事を読んで考えさせられました。

    投稿者: 大谷 直史 | 2012年3月11日, 2:10 am
    • コメントありがとうございます。
      「心が折れる」が気になるのは僕ぐらいだと思いますがw、どんな言葉や言い回しも短期間に大量に流通すると陳腐化してしまうのかも知れないと考えています。 「感動をありがとう」とか。
      いま「絆」という言葉が氾濫していますが、陳腐化させないで欲しいと願っています。 もともと人と馬や犬の結びつきを表す言葉ですし、いい言葉だと思うので。

      投稿者: noisyminority | 2012年3月11日, 10:24 am

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