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Critique

浅田真央とトリプルアクセルにみる日本の製造業の未来

ラフマニノフも墓の中で号泣した

ラフマニノフも墓の中で号泣した

 浅田真央が自らの集大成と位置づけたソチ五輪が終わった。 バンクーバー五輪で満足のいく演技ができず、キム・ヨナの後塵を拝し銀メダルに終わってから4年、その雪辱を期すというよりも何より自らの完璧な演技の実践を目指したソチの舞台だったが、ショートプログラム(SP)でまさかのミスを連発しフリースケーティング(FS)に臨む前に既にメダル圏外へと順位を落としてしまった。
 強さと危うさが同居するのが浅田真央の魅力である。 もし浅田真央が精密機械のようにプログラムをこなすスケーターだったらここまで人を惹きつける存在にはならなかっただろう。 失敗もまた彼女の魅力の多くを占める。 練度を高め習熟し尽くしたプログラムを余裕の顔芸で自信満々に演じる凡庸なスケーターと、常に自らに高いハードルを設け、困難な技と構成に挑戦し続ける非凡なスケーター。 浅田真央は常に後者であり続けた。
浅田真央のダンマクの顔を国旗で覆い隠して嫌がらせをする韓国人 あいかわらずの民度の低さに安心した

浅田真央のダンマクの顔を国旗で覆い隠して嫌がらせをする韓国人 あいかわらずの民度の低さに安心した

 バンクーバー五輪以降、浅田真央を「世界で勝てない日本」になぞらえるような言説をよく見かけた。 曰く、職人肌で真面目で努力家だが要領が悪い。 曰く、国内拠点にこだわり過ぎる。 曰く、性能面に驚異的なこだわりをみせるものの、肝心のマーケティングやデザインには興味を示さない、等々。 没落する日本の製造業さながらである。
 一方キム・ヨナはこの逆を行った。 バンクーバー五輪の金メダルはまさにマーケティングとデザインの賜物だった。 彼女のコーチとなったブライアン・オーサーはコーチというよりもマーケッターでありトレンドセッターという印象が強い。 ジュニアの頃から浅田真央の後塵を拝し続けてきたキム・ヨナはオーサーの指導により、技術面では太刀打ち出来ない浅田より高い点を取る術を手に入れた。 「マーケット」を精査してジャッジが求める要素に忠実な商品を作り上げ、不可解なことに自らのジャンプが採点の基準となった(笑)。 生来の体の硬さを顔芸や身のこなしで取り繕い、スパイラルやスピンのポジションが美しくないことを目立たなくした。 移民が多いバンクーバーという土地ではラフマニノフのノーブルではなく007のポップが観客受けすること、そして審判の判定が多分に観客の反応に影響を受けることを見抜いていた。
 浅田はSPとFSを通じて3回のトリプルアクセルを決めるという世界初の偉業を達成したが、金メダルを取ったのはキムだった。 その姿は常に日本の製造業をベンチマーク(パクリ)し、低廉な労働力を武器に必要十分な機能の製品を低価格で市場に送り出して日本メーカーのシェアを奪ってきた韓国の製造業を思わせた。
ソチ入りした浅田真央を圧殺する勢いで押し寄せた韓国メディア 国ぐるみで組織的に浅田にプレッシャーをかける作戦なのは明らかだった

ソチ入りした浅田真央を圧殺する勢いで押し寄せた韓国メディア 国ぐるみで組織的に浅田にプレッシャーをかける作戦なのは明らかだった

韓国メディアはやはり下馬評の高かったリプニツカヤにも取材攻勢をかけて潰しにかかったが、チェ・ゲバラを尊敬するというこのロシアの小娘に一蹴された

韓国メディアはやはり下馬評の高かったリプニツカヤにも取材攻勢をかけて潰しにかかったが、チェ・ゲバラを尊敬するというこのロシアの小娘に一蹴された

 ソチ五輪までの4年の歳月に浅田が取り組んだのは弱かったマーケティングでもデザインの強化でもなく、ましてや性能面を妥協したうえでの低価格化でもなかった。 基本に立ち返って自らのエッジの癖を矯正し、正確な6種類の3回転ジャンプを極めることだった。 その副作用で代名詞であるトリプルアクセルが飛べなくなる苦しい時期もあった。 最愛の母を失ったのもこの頃だった。
 さまざまな困難に直面してなお浅田真央は求道者であり続けた。 一度高みに達してもそこに安住せず更なる高みを目指す。 頂点にいる者だけが見ることのできる景色を浅田は見ていた。 それはとても孤独な景色だったに違いない。 もはや戦う相手すらいない。 口癖の「リベンジ」すべきは4年前の自分、そう心に誓って臨んだSPだっただけに浅田の落胆はとてつもないものだったはずだ。 日本のマスゴミはバカの一つ覚えのようにキム・ヨナを浅田真央のライバル(笑)と連呼するが、僕から見れば二人はスケーターである以前に人間としてまったく別次元のステージにいる存在であり比較の対象ですらない。 今回も日本のマスゴミはキムから浅田についての好意的なコメントを引き出しては紹介するのに躍起だが、「いったい貴様らの目的は何だ?」と心から申し上げたい。
佐藤信夫コーチの目にも光るものがあった

 佐藤信夫コーチの目にも光るものがあった

 ピアノ協奏曲第二番は、作曲家として失意と絶望の淵にあって極度のノイローゼを患ったラフマニノフが渾身の力を込めて書き上げ、世界的な評価を得ることになった楽曲。 FSに臨む浅田が置かれた絶望的な状況は奇しくもラフマニノフの当時の境遇に符号した。 そしてピアノ協奏曲第二番(第一番との編集)は、1992年のアルベールビル五輪のFSで伊藤みどりがトリプルアクセルを決めて逆転の銀メダルに輝いた時の曲でもある。
 そこからの4分間については何も書く必要がないだろう。 SPの失敗は結果から見れば非常に悔やまれるものだったが、それがあの劇的なFSの第一幕であったと思えばこれ以上の導入部はなかったのではないかとすら思う。 演技直後、「自分でも終わってみて、まだ何もわからないです・・・」と言葉を絞り出した姿は痛々しいほどに憔悴し切っていたが、今にして思えばそれは延べ二日間に及ぶ壮大な叙事詩のワンシーンであったかのように思える。 浅田はその脚本を最後の4分間で見事に結実させた。
 この浅田真央の姿勢にこそ日本の製造業復活のヒントが隠されている気がしてならない。 技術面で最高のものを極めたものが過当競争を勝ち抜くため機能を犠牲にして低価格化に走ったり、過度にマーケットに媚びたものづくりをすることは己の本分を見失うことになる。 いまだに世界から評価されているのはいずれもかつて日本人が心血を注いで磨き上げた独創的な技術や製品、コンテンツばかりだ。 わざわざ二番煎じと同じ土俵に降りていく必要はない。
 日本が作った市場に後発で乗り込んできて低価格を武器に荒らすだけ荒らす韓国の製造業には市場を育てるという発想がない。 液晶テレビなどはその最たるもので、自らの強みだった低価格が今や自分の首を絞める状況にある。 基幹技術を持たないから革新的な製品を創り出すことができず、新たな市場を開拓する力はない。 やがて衰退するのは目に見えている。
 幸いにして日本のメーカーは浅田真央同様正しい方向へ進みつつある。 不採算部門から撤退し、経営資源の選択と集中によって名より実をとる経営にシフトし始めている。 イノベーションこそが日本の製造業の強みであり、そのスピリットがある限りふたたび市場を席巻することは可能だ。
ソチではパトリック・チャンですら綺麗に着氷できなかったトリプルアクセル

ソチではパトリック・チャンですら綺麗に着氷できなかったトリプルアクセル

 SPを終えて失意の底にあった浅田真央には世界中のフィギュア・スケーターから励ましの声があがった。 女子でこれまでにトリプルアクセルを成功させているのは伊藤みどり、トーニャ・ハーディング、中野友加里、リュドミラ・ネリディナ、浅田真央の5人のみ。 特に女子においては思春期に難なく飛べたトリプルアクセルがその後の体型の変化によって飛べなくなることもある。 誰もがその困難さを理解しているからこそ、10年もの長きに渡ってトリプルアクセルへの挑戦を続ける浅田に心を打たれるのだと思う。
 1988年にカート・ブラウニング(彼は浅田のファンでもある)が初めてクアッド(4回転)トーループを跳んで男子フィギュア4回転時代の扉を開けて以降4回転はトップ選手の必修科目となっているが、女子ではその翌年に伊藤みどりが初めてトリプルアクセルを成功させたにも関わらず未だに誰も跳ぼうとはしない。 それは今のルールがトリプルアクセルを必要としていないからである。 人間の新たな可能性に挑戦する者を冷遇するようなルールがまかり通るフィギュアスケートはスポーツの本質とはかけ離れている。
 今回浅田がSPで挑戦して失敗し、ダブルアクセルの転倒扱いとされたトリプルアクセル。 成功しても完全に回り切るのは難しく常にダウングレード判定されるリスクもつきまとう。 ハイリスク・ローリターンなトリプルアクセルは女子フィギュアにおいては徒花(あだばな)でしかない。 それでも浅田はトリプルアクセルに挑んだ。 そして6種類8回のトリプルジャンプを成功させることを自らに課したのである。
 今回もあれほどの演技をしながら審判は浅田に厳しい判定を下した。 演技構成点もトップの3人とは大きな差をつけられ、GOE(技の出来栄え点=100%審判の主観)はソトニコワ(14.11)、キム(12.20)、コストナー(10.39)に対し、浅田は6.69しか貰えなかった。 ルッツは踏切違反を取られ、トーループが回転不足と判定された。 滑走順も災いし、最終グループの多くの選手がパーソナルベストのバーゲンセール、超インフレ状態となったなかで一番割りを食ったのはデフレの時間帯に唯一素晴らしい演技をした浅田だった。
 ホームの大観衆を味方にしたソトニコワもステップシークエンスはやや鈍重に見えた(というか浅田のストレートラインステップが凄すぎた!)しコンビネーションジャンプの着氷でミスもあった。 キムも4年前と演技構成はほぼそのままに曲だけ変えたようなプログラムは「こなしてる」感満載で最後は疲れてスピードを失ない説得力を欠いた。 SPではいつも超絶身びいき判定をしてくれる韓国人審判コ・ソンフィ氏がジャッジに入っていたものの、FSでは抽選に漏れて選ばれていなかったのもキム・ヨナには致命的だった。 だから大きなスケールでボレロ演じきったコストナーこそ表彰台の真ん中に乗るべきだったと思う。 かつてキム・ヨナの異常な高得点直後の滑走順にやる気をなくして抜け殻のような演技をし、一時期はリンクから離れるなど不遇をかこってきたコストナーが見せた円熟のボレロこそが金メダルに値した。 
 そしてもちろん我らが浅田真央。 審判ではなくスケーターから愛されたスケーターズ・スケーター。 今回はメダルに手が届かなかったが、応援していた日本人の多くがそのことを残念だとは思っていないのではないだろうか? 浅田真央はあの4分間でメダルよりももっと大きな、そして大切な何かを手に入れた。


 
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