//
you're reading...
Books, Run

BORN TO RUN

150118b 衝撃的な本だ。 僕の場合、NHK「ミラクル・ボディ」でのパトリック・マカウ、フォアフット走法、ビブラムファイブフィンガーズ、深夜の駒沢公園で僕を颯爽と追い抜いていった裸足のランナー、ワラーチ、木村東吉さんのブログ、トレイルランニング、タラウマラ族・・・ここ数年に及んだこうした出会いのその先に本書はあった。
 正確にはこれらすべての源流とでも言うべきものはすべてこの本にある。 僕がこの本の日本語版を手にするまでに出版から約5年、18刷もの時間を要した。 だからあなたがこの本を既に読んでいたとしても何ら不思議ではない。 たぶん今この瞬間にもその辺を走っているランナーのうちの5人に1人、いや3人に1人ぐらいは読んでいるはずだ。 僕がこれまで本書を読むに至らなかった主な理由は、僕が巷に溢れるランニング本の類にはあまり興味がなかったことに加え、この本がそこそこ高価だったことである。 だが上に挙げたような様々な事物にすっかり外堀を埋められてしまい、その真髄たる本書を読まないではいられない状況になってしまったのだ。
 本書は400ページ以上に及ぶフルマラソン級の大作だが、いわゆるランニング本とは一線を画す。 スタートから序盤はやたらと話が脱線する二流の文化人類学者のフィールドワークを読まされているかのようでなかなか距離を稼げない。 そこにはレヴィ・ストロースのようなビビッドな筆致などあるはずもなく、作者とビジョンを共有するのが少々難しい。 途中カルロス・カスタネダへの言及があるが、もちろん彼ほどぶっ飛んでるわけでもない。 おそらくは都市生活者として世俗にまみれたニューヨーク・タイムズの読者のような人たちを本書の核心部である中盤以降に誘うための通過儀礼、ウォーミングアップとしてこの冗長なストーリーが導入部に必要だったのだろう。
 だがこのやや退屈にも思える序盤の10kmを走り切ればセカンドウィンドの状態に入って読み進むのが楽になる。 そこでは最先端のランニングシューズがいかに人間の足に悪影響を及ぼし、いわゆるランニング障害の原因となっているかを人類の進化論を紐解きながら解き明かしていくのだ。 エミール・ザトペック、フランク・ショーターら往年の名ランナーの逸話も興味深い。 そして物語はいよいよララムリ(走る民)と呼ばれるタラウマラ族とスコット・ジュレクらアメリカのウルトラランナーとの対決というクライマックスを迎える。 登場人物たちがそれぞれキャラが立ちすぎていて、まるで作者クリストファー・マクドゥーガルが創り上げた架空の人物としか思えないが、そのうちの一人であるベアフット・テッドは3年前に来日し、ベアフット教の信奉者たちと一緒に宣教師よろしく駒沢公園を裸足で走ったりしている。
 本書は日常的にランニングを楽しんでいる人だけのものではない。 むしろ走ることが苦手でランニングとは縁遠い生活を送っている人にこそ読んで欲しい一冊だ。

  「人は老いたから走れなくなるのではない、走らなくなるから老いるのだ。」

BORNTORUN.ORG – A RUNNING RE-EVOLUTION IS AFOOT – FAN SITE

広告

Noisy Majority について

思うところを書く。

ディスカッション

コメントは受け付けていません。

Calender

2015年1月
« 12月   2月 »
 123
45678910
11121314151617
18192021222324
25262728293031

Archive

Drink it !

コーヒー(無脳)

Instagram

%d人のブロガーが「いいね」をつけました。