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蹴球狂の詩

B定、リッチコーヒー、そして夢スコ

 スタンドは東福岡高校のサッカー部員らが陣取る一角を除いてほぼ国学院久我山の応援一色だった。おそらくかなりの数の同校の卒業生がスタンドを埋めたと思われる。試合前、両校の校歌が斉唱される時、古関裕而氏作曲の聴き覚えのあるイントロに自然と「潮の香ゆかし~袖ヶ浦~♪」と口ずさんでいた。耳を澄ますと、微かではあるがスタンドのあちこちでその歌を口ずさむ人がいるのがわかった。敵中に単身勇躍身を投じたと思っていた僕にとっては勇気百倍。もはやこの試合勝ったも同然だ。
 そもそも首都圏開催が前提のこの大会。関東のチームはどこの会場であれホームゲームに等しい応援を背に試合ができる時点で圧倒的に有利である。今日も観客が決勝まで勝ち上がってきた両校を公平に応援するような状況であれば、僕も同じように応援するつもりだったが、会場は完全に国学院久我山の応援一色だった。だから多勢に無勢ではあってもひたすら母校を応援した。首都圏の観客の皆さんはもう少し地方の学校にも声援を送るぐらいの余裕を持っていただきたいものである。

駒沢競技場での駒沢戦 東福岡の応援はほぼサッカー部員だけだったが、その声量では駒沢に勝るとも劣らなかった

駒沢競技場での駒沢戦 東福岡の応援はほぼサッカー部員だけだったが、その声量では駒沢に勝るとも劣らなかった

 夏のインターハイとの二冠を狙う東福岡にとって事実上の決勝戦と目された三回戦フクアリ(千葉)での市船戦は日程上の不利もあって苦戦を強いられ、PK戦での薄氷の勝ち上がり。続く準々決勝の駒沢戦も会場が駒沢競技場という完全アウェイ二連戦であり、ここが東福岡にとって今大会のヤマだった。駒沢戦は自宅そばの駒沢競技場ということもあり観戦したのだが、抜きん出た選手はいないながらも運動量で上回った駒沢がホームの大声援を背に80分間惜しみなく動いてハイプレスをかけ、ルーズボールを支配して東福岡を苦しめた。
 会場を埼スタに移した準決勝の星稜戦は、それぞれのOBで現役の日本代表でもある本田と長友を輩出した両校にとって「ミラノダービーの代理戦争」という意味合いもあった?が、完全アウェイの呪縛から解き放たれた東福岡がシュート数で21対1と星稜を圧倒し、2-0というスコア以上に力の差を見せつけたゲームとなった。
スタンドは5万4千人余の観客で埋め尽くされた

スタンドは5万4千人余の観客で埋め尽くされた

 そして決勝は三たび完全アウェイの国学院久我山戦となった。バックスタンドのアッパーデッキにいた僕の周囲は東福岡が攻勢に出ると静まり返り、久我山の選手がドリブルで一人をかわそうものなら大声援が起きる状況。だがそこにいた誰の目にも明らかだったのは両校の実力差。それはまるで大人と子供の試合であり、サッカーチームとフットサルチームの戦いだった。フィジカルで圧倒する東福岡はボディコンタクトやスピード、運動量で相手を上回り、特に後半は完全に足が止まった久我山のゴールを蹂躙し続けた。ピッチを幅広く使ってワイドに攻める東福岡と、個人の突破やショートパスを繋いで崩すことに固執した久我山との攻撃力の差のみならず、守備力にも大きな差があった。
後半2分、トリックプレイから10番の中村賢人が見事な直接FKを決める 元ネタはインターハイで対戦相手の立正大淞南にやられたものだった

後半2分、トリックプレイから10番の中村賢人が見事な直接FKを決める 元ネタはインターハイで対戦相手の立正大淞南にやられたものだった


 だがそんなことはこれまでの両校の実績や今大会の試合内容を見ていれば誰でも予想できることであり、僕にしても国立ならいざ知らずわざわざ埼スタまで行くのは単純に母校の17年ぶりの優勝を見届けたかっただけであり、端から負ける試合なら浦和まで絶対に観には行かないのである。貴重な休日にわざわざ往復4時間の時間を費やしてまで母校の恥辱の瞬間を脳裏に焼き付けに行くほどこのオッサンは暇ぶっこいているわけではない。裏を返せば今大会の東福岡はそれほど強く、僕は当たり馬券を手に払い戻しに行くような気分で家を出たに過ぎない。
 しかし、100人に訊いたら100人がわかるそんなことすらわからない人も世の中にはいる。それはそれで構わない。ただしそれがサッカーをネタに物を書いて生計を立てているサッカーライターとなるといただけない。

とはいえ、短期間であっても急激に成長するのが、高校サッカーの面白さ。今大会の戦いぶりを見る限り、もはや両校に肩書ほどの差はない。それどころか、準決勝を終えた今となっては、國學院久我山に分があるとさえ思えてくる。
http://sportiva.shueisha.co.jp/clm/jfootball/2016/01/10/vs_1/index2.php 
勢いという点で分があるのは、間違いなく國學院久我山だ。また、単純に技術だけを比較しても、國學院久我山が上だろう。
http://sportiva.shueisha.co.jp/clm/jfootball/2016/01/10/vs_1/index5.php

 普通に「これまでの実績に加え今大会の戦いぶりを見ても東福岡が圧倒的に有利だが、久我山が地元ファンや卒業生の圧倒的な応援を力に変えることができれば面白い試合になる」と書けば終わる仕事なのに、両校の実力差を完全に見誤って無用な煽りに終始し、紙媒体でないからと無駄に字数を増やし、無意味な言葉を羅列して記事としてのボリュームだけ出して体裁を整える。この国のサッカージャーナリズム?の悪しき現実である。
 

名門・東福岡は、なぜ復活したか? 史上最弱メンバーの決勝への軌跡 | THE PAGE(ザ・ページ)

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