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Iiko et Tama

さようならたまちゃん

お気に入りのノートパソコンの上で 暖をとるたまちゃん (2011年2月11日撮影)

お気に入りのノートパソコンの上で 暖をとるたまちゃん (2011年2月11日撮影)

 3月30日、13年半もの年月をともにしてきたセキセイインコのたまちゃんことたま吉が僕たちの元を旅立っていった。

 今年に入って急激に衰えが目立つようになり、ややメタボ気味が通常の状態だったたまちゃんも食事の量が減るとともに体重が落ち、手に乗せるとずいぶん軽くなっているのがわかった。たぶん徐々に身体の自由も効かなくなっていたのだろう。飼い始めた時からすぐに手には乗ってくれたが、その状態からもう片方の手で頭や背中を撫でようととしても絶対に触らせてはくれなかったたまちゃんが、最後の一ヶ月は幾分小さくなってしまった体を手の中に横たえ、愛撫するのを許してくれた。僕たちとの別れの時が近いことを自分でも分かっていたのかも知れない。
 亡くなる一ヶ月前に一度危険な状態になり、慌てて駆け込んだかかりつけの獣医にも「この状態で預かることは難しい」と言われ、それでもなんとか注射だけは打ってもらい、後は自宅で最後の時を一緒に過ごすという状況から奇跡的に持ち直しての最後の日々だった。亡くなる前日も僕らの手の中で横になって休んでいたかと思うといきなり不自由な片足を引きずりながら歩いて僕の手から胸、肩、そしてソファーの上へと進む。 「たまちゃん、どこへ行くの?」 慌てて手を差し伸べなければそのままソファーの端から落ちてしまうほどにその歩みは力強かった。あの時たまちゃんはどこに向かっていたのだろうか。

 その翌朝、たまちゃんは急に具合が悪くなった。仕事を早めに切り上げた僕らはたまちゃんを獣医の元に連れていった。この十数年に渡って幾度となくたまちゃんの危機を救ってくれてきた愛想はないが頼りになる獣医は、ついにもう注射すらも打ってはくれなかった。
 絶望的な気持ちで自宅に戻った僕らは自宅療養用に使っている虫カゴを取り出し、最後に処方された薬を水に溶いてたまちゃんに与えた。さすがに今度こそだめかもしれないと思う一方で、たまちゃんのことだからきっと大丈夫という思いが交錯していた。たまちゃんはカゴの中に収まると疲れて眠ったようだった。
 カゴを目の前に置いてから十数分たっただろうか。僕らがまったく味のしない食事を終える頃、妻がたまちゃんが息をしていないことに気づいた。すぐにたまちゃんをカゴから出して名前を呼んでみたが、手の平のたまちゃんはもう応えてはくれなかった。きっと病院から住み慣れた我が家に帰ってきて安心したんだろうと思う。それが13年半をともに暮らしたたまちゃんとの最後だった。

 たまちゃんがいなくなってもう2ヶ月になる。幸か不幸かこの間仕事が忙しく、悲しんでばかりはいられない日々だった。毎日仕事を終えて部屋に帰っても、そこにあるのは無機質な静寂だけ。そこには玄関の鍵を回す音に反応して元気なおかえりの声を聴かせてくれたたまちゃんはもういない。たまちゃんは部屋から部屋へと飛び回る元気な子だったし、僕らが話す言葉もよく覚えてくれて色々おしゃべりしてくれた。だから今でもたまちゃんがよくとまっていた部屋のそこここにその姿が見えるようだし、耳を澄ますと何処からかその愛らしい鳴き声やおしゃべりが聴こえるような気がする。

 いつかまたたまちゃんとどこかで会えますように。一緒に暮らせますように。
 

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さようならたまちゃん」への5件のフィードバック

  1. ご冥福をお祈り致します。
    結局たまちゃんとは一度も会えずじまいでした。

    投稿者: yuk@miku | 2016年6月1日, 9:44 am
  2. たまちゃん、旅立ったんですね。同じ経験をしてますので寂しさはよくわかりますよ。
    限りある命、そこまでの過程が愛おしい時間を与えてくれてとして、納得するしかないですね。

    心の中にいつまでも生きていることでしょう。さよならたまちゃん・・

    投稿者: 空のはは | 2016年6月2日, 10:08 am
  3. また素敵な出会いがありますよ。
    お馬さんがやってきたりして・・・

    投稿者: yuk@miku | 2016年6月2日, 12:45 pm

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